 こちらは、素人工作員さんからの投稿作品です。今回は初の歪み以外ということで、Phaseを一気に2種類投稿してくれました。
作者:素人工作員さんからのコメント
歪もの以外の初めてのエフェクターでしたので、どうなる事かと心配でしたが、両方とも一発OKでした。
参考にしたのは、どちらもTONEPADです。ただし、オリジナルのMXR製は通常のコンデンサーがセラミック、電解コンがタンタルというイメージがありますので、そのようにしています。
ICはPhase45はTONEPADどおりTL072を使いましたが、Phase90はオリジナルでUA741CPが使われていましたので、741の2個入りらしいMC1458を使っています。
FETは松美庵さんのリクエストどおり、Phase45は2SK30対応にしました。Phase90は残念ながら海外製FET対応です。
 あと、Phase45のポットですがTONEPADの部品表にはCカーブかBカーブと書いてあったのでCカーブを使ったのですが、CカーブだとSPEEDノブを1時くらいまで回しても全く変化しませんので、Bカーブのポットの使用をお勧めします。
Phase45とPhase90の音の違いですが、作る前はPhase90でPhase45の音も出ると思っていたのですが、これは全く別物ですね。Phase45はトレモロのような感じに揺れ、Phase90はWahペダルを連続して操作したような感じに揺れます。でもWahのようにコワァというのではなくフランジャーのようにショワショワいってます。オペアンプとFETの段数を増やしていくとフランジャーやコーラスのようになるというのも、うなずけますね。
Phase90でPhase45の揺れ具合を出すことは出来るのですが、音が転がりすぎて使いづらい感じがしました。ローターリースピーカー的に使うならPhase45がいいかなと思います。Phase90を使える曲はVan
Halenか、あと外道の「逃げるな」のソロしか思いつきません。
参考ページ TONEPAD
Phase45 & 90 誰でも作れるギター・エフェクター2
FET Matched
FETについて補足
2007.04.18
松美庵からの質問
FETのマッチングは「誰でも〜2」に載っているやり方でうまくいきましたか?
また、どれくらいの確率だったでしょうか?
Phase90の4つのFETもマッチングさせたのですよね?
素人工作員さん回答
FETのマッチングは「誰でも〜2」の方法で簡単に出来ました。ただ、ワニ口クリップが無かったので、ACアダプターが使える簡易測定装置を作りました。(右写真)
マッチングの確率ですが、FET2個使用のPhase45に使った2SK30は手持ちの6個中1セット、FET4個使用のPhase90用に2N5952を7個用意して1セットでき、さらに2個近い値のものがありました。いずれも測定電流0.2mA以内で選んでいます。
2N5952の測定値が比較的揃っていたのは偶然だと思いますが、2SK30は最大2mAの差がありました。FETのマッチングはまったく同じ値のものを揃えなければいけないイメージがあったのですが、少々の差は大丈夫みたいです。今思えば、どれくらいの差まで許容できるか調べれば良かったですね。
-----その後さらに詳しく調べてくれた-----
Phase45をソケット化してFETのマッチングについて調べてみました。
変化が分かりやすい様にSPEEDは最大にします。6個手持ちがある2SK30の電流の測定値は小さい順に、2.90,3.59,3.76,3.95,4.15,5.09(mA)でした。
まずは差の一番大きい5.09mAと2.90mAの組合せを試したのですが、かすかに揺れるだけで話になりません。徐々に差が小さい組合せにしていくに従い揺れが大きくなっていくのですが、明らかに違いが現れたのは0.19mA差の3.95mAと3.76mAの組合せです。4.15mAと3.95mAの0.20mA差の組合せまでは揺れだけしか感じなかったのですが、0.19mA差にしたところから揺れに音が転がっている感じが加わりました。
そして、差が一番小さい3.76mAと3.59mA(0.17mA差)にすると僅かながら転がり感が増しました。ということで、FETのマッチングは最低でも0.19mA差にする必要があるようです。機会があれば完璧にマッチングした音を聴いてみたいですね。
-----その後もう一歩踏み込んで調べてくれた-----
Phase45のFETのマッチングでお困りの方が少なくないのではと思いまして2SK30GRを20個手配してマッチングしてみました。
結果、0.08mA差以下の組合せで9セット、さらに手持ちのを加えて合計10セットできました。
中に1セット全く同じ値のがあったので試してみたんですけど以前投稿した状態から豹変しました。
奥深い揺れになったと言ったら良いのでしょうか。ちょっと言い表せません。
で、他のは駄目かというとそんなことはありません。
0.04mA差と0.08mA差を比べてみましたが、両者の差は感じられませんでした。全く同じ組合せに比べるとほんの僅かですが足りないかという感じはしますが...
でも以前投稿時のものとは別物です。トリムの調整ポイントがぜんぜん違う位置になりましたから。
なので「0.19mA差以下に」としていましたが、今回の値からいうと少なくとも0.08mA差にした方がいいと思われます。
2006.2.12
Phase45基盤レイアウトの間違えを発見、早速訂正し今までの基盤を修正する方法も書いてくれた。
2006.05.21
松美庵からのコメント
いつもながら素晴らしい出来とレポートに脱帽ですね(^^)。特に今回は松美庵もやったことない「FETのマッチング」に関して詳しくレポートしてくれたので、大変役に立っています。
製作途中、すでに基盤レイアウトが出来上がった時点で、松美庵から「2SK30対応」にした方がマッチングが気軽に出来て良いのでは?とリクエストしたところ、Phase45だけ間に合わせてくれました。
多少解説しますと、マッチングのやり方は誰でも作れるギター・エフェクター2「PHASE
ARMADILLO」の記事中に載っているものです。FETのSとGをショートし電池のマイナスへ。Dをテスターのマイナス側、テスターのプラス側から電池のプラスへと繋ぎます。テスターは10mAのレンジに合わせて測定します。これ以上は著作物なので...詳しくは本を買って読んでください。
 あと両方とも歪み物に比べたら回路が複雑なのに、MXRサイズに基板を縮小されたことは大変だったのでは?と想像できます。
また、今回も非常に分かりやすいレイアウト図を付けてくれて、これから作る人にとっては本当に役立つと思います。
素人工作員さん、投稿ありがとうございました。
2005.12.24
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