Phase45を作るのでのでFETのマッチングを試してみた。マッチングはフェイザー製作には必ず必要らしい。FETがマッチしていないとフェイザー効果が薄いばかりか、最悪は効果が出ないらしい。そのかわりにピッタリとマッチしたFET同士を使うと奥深いフェイザー効果が生まれるということ。
用意したのは2SK30GRを30個、これだけあればひとつやふたつはマッチするでしょう。
まずはマッチングさせる為の「道具」を作らなければならない。これは素人工作員さんの物ををそっくり真似させていただいた。松美庵は更にクリップを付けてテスターへはクリップで固定して作業できるようにした。
マッチングのやり方は誰でも作れるギター・エフェクター2「PHASE
ARMADILLO」の記事中に載っているもの。FETのSとGをショートし電源のマイナスへ。Dをテスターのマイナス側、テスターのプラス側から電源のプラスへと繋ぐ。テスターは10mAのレンジに合わせて測定。これ以上は著作物なので...詳しくは本を買って読んでください。
松美庵のテスターでは20mAのレンジが使いやすかった。基盤の裏側写真も載せておくので参考にしていただきたい。
この簡易測定器を使ってFETの値を次々と測っていく。
差し込んでしばらくは数値が微妙に安定しないし、なんとなく常に動いているような状態だ。なので差し込んでから30秒後の数値を読み取るように統一した。
右写真のように数値をメモしながらFETをそこへ置いていくという非常に細かい作業。この紙を吹き飛ばしたらまた最初からやり直し(~_~;)、なので細心の注意を払って作業を進めた。
写真でも判る通り、ピッタリマッチしたのが3組できた。やはり30本用意した甲斐がある。そして神経衰弱のように組み合わせを見つけて、左写真のように袋に詰めた。
誤差として素人工作員さんの実験通り0.08mA差以内で組んでみたが、結果的には0.07mA差以内になった。まったく組み合わせできないFETもあった。また0.03mA以内で4本マッチしたので、Phase90用に確保した(^^ゞ。
誤差幅で音の違いは...
さて誤差0%のペアで音を出して見た。さすがに奥深い揺れになった!単純に揺れ幅が大きくなったのではなく、深みというか音の広がりが出たというか...。あとBIAS調整の範囲が大きくなり、いろいろな音が幅広く設定できるようになった。
そのほかではどうだろうか?誤差3%ぐらいまではさほどの違いは無く、0%とほとんど同じように聞こえる。だが、BIAS調整の範囲は確実に狭くなってきている。
誤差4%になって揺れや広がりが若干浅くなっていることが判ってくる。更にBIAS調整の範囲は狭くなり、音の幅も狭くなる。
誤差7%と0%で比べると確実に違いが判ってくる。でもそれは比較での話し、たぶんメーカー物はこのあたりの誤差でも製品にすると思う。普通に聞けばちゃんとPhase45の音がしているし、充分にフェイザー効果は出ている。
試しに全くかけ離れたペアで聞いてみたが、揺れ方がフェイザーでは無く、トレモロのような感じになった。そしてBIAS調整では離れた部分の2箇所で揺れるようになった、これは不思議?
Phase45のように2段という少ない段数のフェイザーでは、FETのマッチングで効果がだいぶ変わってくることは明らかだ。誤差10%ぐらいまでは充分なフェイザー効果はあるだろう。なので誤差5%以内なんてのは自作ならではの贅沢なペアなのかもしれない。
2006.06.03
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